まだ要介護者にはならないものの、心身が虚弱になり、そのまま放置すれば要介護状態に陥る可能性がある段階をフレイルと呼びます。フレイルのステージで、様々な予防措置を施せば、要介護状態へ移行する時期を遅らせることができるでしょう。

まず人との会話を通じたコミュニケーションが大切です。高齢者は孤立しやすく、孤独感から心身が弱りがちです。それが要介護状態への移行にもつながってしまいます。そのため人と積極的に関わり、孤独感を和らげることが大切です。また人と交流すると、言語やジェスチャーを使って情報を伝える機能の衰えを防ぐこともできます。さらに人からの刺激は、脳の活性化にもつながります。高齢者サロンをはじめ、高齢者が周囲と触れ合える場はたくさんあるため、本人や周囲が早めに行動を起こすことが求められるでしょう。

フレイル状態の高齢者に対する介護予防の方法としては、食事療法や運動療法も有効です。筋肉量を維持するため、高齢者は良質なタンパク質の摂取が欠かせません。タンパク質を摂れば、アミノ酸の血中濃度を上げることにより、筋力を保持して歩行可能な期間を延ばせます。ただし、高齢者は消化機能が低下するので、肉類を苦手とすることも少なくありません。脂肪分の少ない部位を選んだり、肉類を柔らかく煮たりするなどの工夫も必要です。

また、高齢者になると、身体を動かすのが億劫になって、運動不足が深刻な問題となります。そこで、高齢者でもできるような簡単な体操やウォーキングといった軽い運動を、毎日少しずつこなすことが欠かせません。短時間の運動でも習慣化すれば、介護予防に役立つでしょう。